令和6年度税制改正 賃上げ促進税制 大企業向けについて
令和6年度税制改正において、賃上げ促進税制が強化されました。今回はこちらの大企業向けの内容についてご報告いたします。
改正前 | 改正後 | |||
資本金 | 区分 | 資本金 | 従業員数 | 区分 |
1億円超 | 大企業 | 1億円超 | 2,000人超 | 大企業 |
2,000人以下 | 中堅企業 ※1 | |||
1億円以下 | 中小企業 | 1億円以下 | - | 中小企業 |
※1従業員数2,000人以下の法人のうち、その法人と支配関係がある法人とあわせて、常時使用する従業員数の合計数が10,000人を超える法人は中堅企業から除外され、大企業と判定されます。
・原則の税額控除率が15%から10%へ引き下げられる一方、税額控除率の上乗せ措置を見直すことで、税額控除率が最大30%から35%へ拡大されます。マルチステークホルダー方針の公表に係る提出義務者の範囲等を見直すとともに、適用期限を3年延長します。
・青色申告法人で常時使用する従業員の数が2,000人以下であるもの(一定の法人を除く)に対する賃上げ促進税制を新設します。
・給与等の支給額が増加した場合の外形標準課税の付加価値割の課税標準からの控除制度について、適用期限を3年延長します。
項目 | 改正前 | 改正後 | ||||||
法人区分 | 大企業 | 大企業 | 中小企業:新設 | |||||
適用要件 | 継続雇用者給与等支給額≧継続雇用者比較給与等支給額×103% | |||||||
控 除 率 |
給 与 等 の 増 加 割 合 |
3% 以上 |
15% | 10% | 10% | |||
4% 以上 |
25% | 15% | 25% | |||||
5% 以上 |
20% | |||||||
7% 以上 |
25% | |||||||
上乗せ加算 | 教育訓練費の増加割合が20%以上 | 5% 加算 |
教育訓練費の増加割合が10%以上
かつ 教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上 |
5% 加算 |
同左 | 5% 加算 |
||
- | 以下のいずれか ・プラチナくるみん認定 ・プラチナえるぼし認定 |
5% 加算 |
以下のいずれか ・プラチナくるみん認定 ・プラチナえるぼし認定 ・えるぼし認定(3段階目) |
5% 加算 |
||||
最大控除率 | 30% | 35% | 35% | |||||
控除限度額 | 適用年度の法人税額の20%を上限、繰越不可 | |||||||
マルチステーク ホルダー方針の要件 |
資本金が10億円以上、かつ、常時使用する従業員数が1,000人以上の法人(①) | ①に加え、常時使用する従業員数が2,000人を超える法人を追加 | ①と同様 |
【適用時期】
2024年(令和6年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までの間に開始する事業年度
MEMO
【交際費等に係る飲食費の金額基準について】
令和6年度税制改正によって、令和6年4月1日から、交際費等とされない飲食費の金額基準が「1人当たり10,000円以下」に引き上げられました。
今回は、飲食費の経理処理について、ご案内いたします。
交際費等とされない飲食費とは?
「飲食その他これに類する行為」のために要する費用と定義されています。
自社の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」や、得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」などが対象となります。
接待飲食費が1人当たり10,000円以下の場合はどうなるでしょうか?
得意先等との接待を目的とした飲食費は、「交際費等」に該当しますが、1人当たり10,000円以下の場合は、全額を損金算入することができます。
社内飲食費が1人当たり10,000円以下の場合は?
「社内飲食費」は、交際費等とされない飲食費に該当しません。そのため1人当たり 10,000 円以下であっても、原則「交際費等」に該当しますが、例外として「会議費」や「福利厚生費」に該当する場合を除きます。
領収書の分割や参加者の人数を水増しして記載すること等は、事実の隠ぺい又は仮装に当たり、重加算税の賦課対象となることがありますので、ご注意下さい。