令和2年度税制改正大綱について②
今回は令和2年度税制改正大綱のうち、①「大法人の給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除制度における国内設備投資額に係る要件の見直し」と②「大法人の研究開発税制等の税額控除適用要件の見直し」の具体的な内容についてご報告致します。
【①】下記の賃上げに関する要件及び設備投資に関する要件に該当しない大法人については、給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除制度が適用されないものとされていますが、設備投資に関する要件について、その大企業の国内設備投資額が「当期償却費総額の90%以上である」ことから、「当期償却費総額の95%以上である」ことに改正されました(所得税についても同様)。
項目 | 改正前 | 改正後 | ||
要件 | 賃上げ | ① | 対象年度の雇用者給与等支給額 ≧前期の雇用者給与等支給額 |
〃 |
② | 対象年度の1人当たり平均給与 ≧前期の1人当たり平均給与 |
〃 | ||
設備投資 | 対象年度の国内設備投資額 ≧対象年度の減価償却費×90% |
対象年度の国内設備投資額 ≧対象年度の減価償却費×95% |
【②】下記の所得要件、賃上げ要件及び設備投資要件のいずれにも該当しない大法人については、研究開発税制、地域未来投資促進税制の税額控除ができないものとされています。設備投資に関する要件について、その大法人の国内設備投資額が「当期償却費総額の10%を超えること」から、「当期償却費総額の30%を超えること」に改正されました(所得税についても同様とする。)。
また、5G投資促進税制について、本措置の対象に加えられました。
項目 | 改正前 | 改正後 | |
要件 | 所得 | 対象年度の所得≦前期所得 | 〃 |
賃上げ | 対象年度の継続雇用者の給与総額≧前期の継続雇用者の給与総額 | 〃 | |
設備投資 | 対象年度の設備投資額 >減価償却費の10% |
対象年度の設備投資額 >減価償却費の30% |
MEMO
【軽減税率制度と消費税の計算方法について②】
軽減税率制度の実施に伴う影響を考慮して、簡易課税制度における事業区分が一部変更されました。
食用の農林水産物の販売に係る事業区分が第三種から第二種に変更されたことにより、みなし仕入率が70%から80%に引き上げられました。 簡易課税制度においては、個々の取引ごとに事業の種類を判定するため、例えば、自ら生産した農産物を使用して食品の製造・加工も行っている農業者については、その事業が「農林水産業(食用)」(第二種事業:みなし仕入率80%)に当たるのか、それとも「製造業」(第三種事業:みなし仕入率70%)に当たるのかを整理し、それぞれ区分することが必要となります。
ただし、令和元年9月30日以前の取引については旧みなし仕入率が適用されます。