【第30回法人税】 売上値引と寄附金について
売上値引とは、財務諸表等規則72条1項2号及び財務諸表等規則取扱要領164により、売上品の量目不足、品質不良、破損等の理由により代価から控除される額をいうものとされます。今回は売上値引が寄附金認定される場合とその対策をご案内致します。
寄附金の定義
寄附金は以下の様に定義されます。
○金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与
寄附金認定される場合
過去の判例を見ると以下が挙げられます。
・業績悪化を支援するために行った売上値引
・特定の覚書による算出根拠が不明確な売上値引 等
その他の判例を見ても、経済的利益の供与とみなされる場合や売上値引額の算出根拠が不明確な場合が多くあります。
寄附金として誤解されない対策
①売上値引をする正当な理由があるか
②売上値引の額が社会通念上妥当であるか
③売上値引額の協議の過程に恣意性がなく算出根拠が明瞭であるか
税務上の対策としては、これらを十分に注意して処理し、必要に応じて関係資料を整備しておく必要があると考えられます。
MEMO
【平成29年分年末調整で提出する書類の変更点について】
平成29年分の年末調整で提出する書類について一部改正がありました。
1つ目は会社より配布される「平成30年度分の給与所得者の扶養控除等申請書(異動)」にある主たる給与から控除を受ける源泉控除対象配偶者と障害者の欄が変更になりました。
2つ目は対象者のみ提出が必要となる「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(いわゆる住宅ローンのこと)は平成29年分から、居住していない住宅の購入に関しても同様の条件で特別控除が認められるようになりました。
改正前は居住者が住宅ローンを組み、マイホームを購入等した場合にのみ適用されていました。海外転勤から帰国した場合に再度住宅ローン控除を適用できるという例外規定も、居住者が購入していなければ適用されませんでした。
しかし、平成28年度税制改正により、非居住者がマイホームを購入した場合でも現行の居住者が満たす要件と同様の要件を満たせば、住宅ローン控除の適用を受けることができるようになりました。