ご存知ですか?
令和2年度税制改正大綱について④
今回は令和2年度税制改正大綱のうち、「連結納税制度の見直し」についてご報告致します。連結納税制度の見直しは、現行制度における事務負担の軽減を図るための簡素化、そしてグループ経営の多様化に対応した中立性・公正性の見直しを行う観点から、連結納税における連結申告をやめて単体申告にするという内容となっています。連結納税の最大のメリットであるグループ内の所得と欠損を相殺できる仕組みは残されます。また、名称が連結納税制度からグループ通算制度に変更となっております。
<概要>
内容 | 改正前(連結納税制度) | 改正後(グループ通算制度) | |
手 続 |
納税主体 | 親法人が一体申告 | 企業グループ内の各法人が個別申告 |
連帯納付 | あり | あり | |
修正申告等 | 連結グループ内で再調整を行い、親法人にて修更正 | 原則、各法人にて修更正 | |
事業年度 | 親法人の事業年度 | 親法人の事業年度 | |
青色申告 | 連結申告法人は制度の対象外 | 各法人の青色申告承認が必要 | |
電子申告 | 任意 | 強制 | |
計 算 方 法 |
所得計算 | (所得調整) 連結所得を計算する上で、各法人所得の調整・集約及び連結グループ全体での調整・配分を行う。 (税額調整) 連結所得から算出された税額を各法人に配分・調整・集約及び連結グループ全体の調整を行う。 |
(所得調整) 欠損法人の当期欠損金額の合計額(所得法人の所得の金額の合計額を限度)を所得法人の所得の金額の比で配分し、所得法人において損金算入する。 (税額調整) 各法人の算出税額に通算グループ全体の調整を行う。 |
繰越欠損金 | 連結所得金額の50%相当額(連結親法人が中小法人等の一定の場合は100%)を限度として、連結所得から控除する。 | 通算グループ内の各法人の欠損金の繰越控除前の所得金額の50%相当額(グループ内法人が全て中小法人等であれば100%)を各法人の所得から控除する。 |
【適用時期】
令和4年4月1日以後開始事業年度
MEMO
【令和元年度における税制改正について②】
前月の続きになりますが、2つ目の改正は「中小企業向け設備投資促進税制の見直し及び延長」についてです。
この税制は「中小企業投資促進税制の延長」「中小企業経営強化税制の設備の範囲の適正化と延長」「商業・サービス業・農林水産業活性化税制の適用要件の見直しと延長」の3つとなっています。適用時期は、令和3年3月31日までの間に取得をして事業の用に供した場合に適用とされていますが、それぞれ適用期限が2年延長されました。税制に大きな変更はありませんが、「中小企業投資促進税制の延長」についての対象となる設備の中には器具備品は含まれませんのでご注意ください。