【第14回法人税】 研究開発税制について
今回は平成27年に改正された項目ではありますが、研究開発税制についてご案内致します。今回は制度の概要と対象となる試験研究費をご案内致します。
(制度の概要)
研究開発税制とは、試験研究活動を行い所得の計算上損金算入できる試験研究費の額がある場合、その額の一定割合をその事業年度の法人税額から控除できる制度のことです。以下の4つを組み合わせることが可能で、控除額の上限は法人税額の40%までとなります。
a | b | c | d | |
制度 | 総額型 | オープンイノベーション型 |
増額型 | 高水準型 |
控除率 | ・試験研究費の総額の8~10%を税額控除 ・中小法人の場合は12% |
特別試験研究費の総額の20%又は30%を税額控除 |
試験研究費の総額の5~30%を税額控除 | 売上高の10%を超える試験研究費の額の一定割合を税額控除 |
控除上限 | 法人税額の25% |
法人税額の5% | 法人税額の10% | 法人税額の10% |
適用制限 | - | - | c、dはどちらも選択適用 |
(対象となる試験研究費)
ここで対象となる試験研究費とは、製品の製造又は技術の改良、考案もしくは発明に係る試験研究のために要する費用で以下に掲げるものが該当します。
・その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門知識をもってその業務に「専ら」従事する者に係るもの)及び経費
・他の者に試験研究を委託する場合の委託研究費
・技術研究組合に賦課される費用
・試験研究のために使用する減価償却資産の減価償却費
※「専ら」を満たす要件としては、試験研究を専属業務とする者や試験研究プロジェクトの全期間に従事する者のほか、次の要件を全て満たす者も該当します。①全期間ではないものの、その者が専門的知識を持って担当した業務についてその間専属的に従事、②試験研究のうち、その担当業務が不可欠でありその者の専門的知識が不可欠、③その者が担当した期間がトータルでおおむね1ヶ月(実働20日程度)以上、④その者の担当業務が明確に区分され、人件費が正確に計算されている。
次回は平成27年に改正された「総額型」と「オープンイノベーション型」の具体的な内容についてご案内致します。
MEMO
【社会保険について】
社会保険とは会社に就職し、働き始めた際に加入する「健康保険」「厚生年金」「介護保険」をまとめたものをいいます。社会保険料は加入者が直接支払うのではなく、保険料を会社と加入者が折半した金額を毎月の給料から天引きされ、会社がまとめて支払います。
健康保険は性別や年齢に関係なく、全ての日本国民が加入しなければならない制度です。健康保険に加入していることで医療費の自己負担割合が3割になります。
介護保険は40歳から64歳までの健康保険加入者が負担することとなっており、健康保険と一緒に支払いますので特別な手続はありません。
厚生年金は民間企業に勤めている労働者が加入する公的な年金制度です。老齢年金のほかに障害年金や遺族年金等があり、これらをまとめて厚生年金と呼びます。また、厚生年金とは別に国民年金という制度がありますが、これは似ているようで全く違う制度です。
社会保険は自分で選び加入できるものではなく、就職先の加入状況に合わせて加入することになります。例外として社会保険に加入できない・加入しなくてよい条件もありますが、これに当てはまらない人は、全員加入することが義務付けられています。