Go Toトラベルを利用した旅行代金の消費税と所得税について
Go Toトラベルを利用すると、国内旅行を対象に旅行代金の一部が補助されます。10月1日より東京都発着の旅行も対象となったことから利用者が増加しました。また、ビジネス出張を目的としたGo Toトラベル利用は11月6日以降販売分には適用されませんが、それ以前に利用したGo Toトラベルには適用されるため、補助額の消費税と所得税との関係についてご報告致します。
【消費税】
旅行代金の補助を受けた場合でも当初の旅行代金全額が仕入税額控除の対象となります。また、従業員への精算は補助額を含めるケースと含めないケースが想定されますが、会計処理は以下の様になります。
11,000円(税込)の旅行券を購入し補助額が3,850円の場合
① 補助額も含めて従業員に精算するケース
旅費交通費 10,000 / 現金 11,000
仮払消費税 1,000
② 補助額の精算はしないケース
旅費交通費 10,000 / 現金 7,150
仮払消費税 1,000 雑収入 3,850(不課税)
【所得税】
所得税法上、一定の旅費については非課税とされており、これには通常必要と認められるものでなければなりません。一般的に社内規程で定めた金額の範囲内であれば通常必要なものと認められます。
上記消費税の①の精算方法だと、Go Toトラベルによる補助額が従業員への経済的利益となり給与課税が生じる事も考えられますが、当該補助額は旅行会社等が旅行者に代わって国から受け取る補助分を差し引いているにすぎず、旅行代金を値引きするものではありません。そのため、通常必要と認められる範囲内の旅費であれば、精算額は全額が非課税となり、給与課税は生じません。
MEMO
【令和2年の年末調整について】
令和2年の年末調整は改正点が多く、申告書のフォーマットも変更されました。
昨年は「令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書」でしたが、今年は「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という名称になりました。
この申告書で大きく変わった点は「所得金額調整控除」が新設されたことです。改正に伴い、給与所得控除額の上限額が、従来の1,000万円を超えると一律220万円であったのが、年収850万円を超えると一律195万円に引き下げられました。よって、年収850万円を超える人は増税となります。しかし、本人が特別障害者に該当する場合・23歳未満の扶養親族を有する場合・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する場合にはこの「所得金額調整控除」を受けることができます。
この控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。したがって、例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。(国税庁HPより)
そのほかにも基礎控除が最大48万円に引き上げられながらも所得金額に応じて段階的に減額されたり、配偶者や扶養親族の合計所得金額要件等の見直し、ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正が行われました。