【第34回法人税】 新事業承継税制について
事業承継税制とは、非上場企業の経営者から後継者が同企業の株式を引継ぐ場合に、相続税や贈与税を一部猶予し、中小企業の世代交代を後押しする制度のことです。この制度に関して平成30年度税制改正において新たな制度(新事業承継税制)が創設されました。
今回はこの新制度について従来の制度との変更点の概括的な内容をご報告致します。詳しい内容は次回以降ご報告させていただきます。
①納税猶予対象株式
従来:株式総数の2/3まで
↓
新制度:取得した全ての株式
②納税猶予税額
従来: 対象株式に係る相続税の80%
↓
新制度:100%
③雇用確保要件
従来: 一定期間(5年間)の雇用平均80%を下回ると打ち切り
↓
新制度:平均80%を下回っても継続可能
(都道府県に理由記載の書類提出)
④先代経営者の要件
従来: 代表者1名からの承継
↓
新制度:複数人(代表者以外含む)からの承継
⑤後継者の人数
従来: 代表権者1名
↓
新制度:代表権者3名まで
⑥株式の譲渡・合併・解散の場合の納税
新制度: 一定の事由が発生した場合は、一部免除等
MEMO
【社会保障制度の役割】
社会保障制度とは、『病気や老後などの1人では支えきれない生活上のリスクをみんなで、国で、社会全体で対応する』という制度のことで、「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「公衆衛生」の4つの制度で構成されています。
社会保険は、リスクに備えてあらかじめお金(保険料)を出し合い、リスクにあった人に必要なお金やサービスを支給する制度のことで、4つの中で唯一、国民に保険への加入を義務付けて保険料を徴収しています。
社会福祉は、生活に困る人に対して、最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度です。
公的扶助は、保育や福祉サービスなどを提供することにより、安定した生活を送れるよう公的に支援する制度です。
公衆衛生は、国民が健康的な生活を送れるよう、病気の予防や健康づくりを公的に行う制度です。
社会全体で病気や怪我などの生活リスクに対処し、誰もが参加できるような社会にすることによって、必要以上におびえることなく生活が出来るようになっています。