【第39回法人税】 新事業承継税制(6回目)について
前回は改正内容の内、後継者について報告させていただきました。
今回は後継者が自主廃業や承継した株式の譲渡等を行う際の納税額の一部免除について報告させていただきます。
(変更点)
株式の譲渡・合併・解散等の場合の納税
新制度: 一定の要件を満たす場合は、一部免除等
(コメント)
現行制度では、後継者が自主廃業や承継した株式の譲渡等を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与・相続税を納税するため、過大な税負担が生じる可能性があります。そのため、新制度では一定の要件を満たす場合において、その自主廃業や承継した株式の譲渡等の時における株価を基に納税額を再計算することが認められました。
<要件>
1 直前の事業年度終了の日以前3年間のうち3年以上特例認定承継会社が赤字である場合
2 直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社の売上高が、その年の前年の売上高に比して減少している場合
3 直前の事業年度終了の日における特例認定承継会社の有利子負債の額が、その日の属する事業年度の売上高の6月分に相当する額以上である場合
4 特例認定承継会社の事業が属する業種に係る上場会社の株価(直前の事業年度終了の日以前1年間の平均)が、その前年1年間の平均より下落している場合
5 特例後継者が特例認定承継会社における経営を継続しない特段の理由があるとき ただし、特例認定承継会社の非上場株式の譲渡等が直前の事業年度終了の日から6月以内に行われたときは上記1から3までについて、当該譲渡等が同日後1年以内に行われたときは上記4について、それぞれ「直前の事業年度終了の日」を「直前の事業年度終了の日の1年前の日」とした場合にそれぞれに該当するときについても、「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」に該当するものとする。
(その他)
中小企業庁のHPにて平成30年5月16日に特例承継計画のマニュアルが、5月28日に特例承継計画の申請様式と各都道府県の申請窓口・お問い合わせ先が公表されました。
MEMO
【平成30年度税制改正について ~所得税①~ 】
・給与所得控除の改正
平成32年より給与所得控除の金額が一律10万円引き下げられます。また、給与等の収入金額が850万円を超える場合の上限金額が195万円に引き下げられます。
そのため、850万円を超える給与収入の方は増税となります。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
1,625,000円以下 | 550,000円 |
1,625,000円超 1,800,000円以下 |
収入金額×40% -100,000円 |
1,800,000円超 3,600,000円以下 |
収入金額×30% +80,000円 |
3,600,000円超 6,600,000円以下 |
収入金額×20% +440,000円 |
6,600,000円超 8,500,000円以下 |
収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,000円超 | 1,950,000円 |
・公的年金等控除の改正
平成32年より公的年金等控除の金額が一律10万円引き下げられます。また、公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額の上限金額が195万5千円になります。
公的年金等収入以外の所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合には控除額を10万円引き下げ、さらに2,000万円を超える場合には控除額を20万円引き下げることになります。
給与所得控除と同じく、高収入の方は増税という改正内容になります。