消費税増税と印紙税②について
前回は消費税増税と印紙税の関係の概要についてご報告致しました。今回は事例を用いて変更契約書等が印紙税の対象となるかどうかについてご報告致します。
事例①
請負契約書において「当初の請負金額1,080万円(うち消費税額等80万円)を1,100万円(うち消費税額等100万円)に変更する」と記載した文書
⇒「既存の原契約書」が2号文書に該当し、事例①の文書は、新たに課される消費税等相当額のみを増額するために原契約書の契約金額を変更するものとなるため、記載金額のない2号文書に該当します。事例①の文書に記載された「新たに課される消費税等の具体的な額」は、新たな消費税額等が100万円、従来の消費税額等が80万円、差し引き20万円となり、1万円以上ですから印紙税の対象となります。
事例②
継続的取引の基本となる契約(物品売買契約など)において「当初の物品売買単価1,080万円(うち消費税額等80万円)を1,100万円(うち消費税額等100万円)に変更する」と記載した文書
⇒「原契約書」は物品の売買契約についてのものであり、物品の譲渡に関する契約書に該当しますが、継続的取引の基本となる契約でもあるため7号文書となります。
事例②の文書をみると「売買単価」が変更されており、これが「重要な事項」に該当するか否かを判定することになります。この点、7号文書では「単価」が重要な事項として掲げられており、重要な事項に変更があるといえそうです。しかし、変更があったのは消費税額等のみであり「単価」自体に変更はありません(消費税額等が区分記載等されていなければ「単価」に変更があることになります)。このため、重要な事項に変更はないことになります。
そうすると、事例②の文書は「物品の譲渡に関する契約書」となりますが、これは課税物件表に記載された文書ではないため不課税文書になります。
事例③
・請負契約において「消費税額等8万円を消費税額等10万円に変更する」と記載した文書
・請負契約において「消費税額等2万円増額する」と記載した文書
⇒ 消費税等が区分記載等されているということではありませんが、どちらの文書も記載金額のない2号文書に該当し、印紙税の課税対象となります。
MEMO
【キャッシュレス決済とポイント還元制度の関係について】
まず初めにキャッシュレス決済とは、クレジットカードや電子マネー・口座振替を利用して紙幣などの現金を使わずに支払いや受け取りをする決済方法のことです。
キャッシュレス決済は支払いが発生するタイミングにより「前払い」「即時払い」「後払い」と3種類に分けられます。前払いはSuicaやPASMOのように、あらかじめ金額をチャージしておく電子マネーが代表的です。即時払いは、デビットカードのように支払いと同時に銀行口座から代金が引き落とされるものです。後払いはクレジットカードのように後日請求される支払い方法です。
次にポイント還元制度とは2019年10月から2020年6月までの9ヶ月間、消費者が中小店舗で商品やサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)にて代金を支払った場合には、購入額の2%もしくは5%のポイントが還元される制度です。これは消費税の増税に伴って消費の落ち込みを抑えることと、キャッシュレス決済の促進を図っています。
ただし、ポイント還元を受けるためには指定されたキャッシュレス決済を行う必要があります。また、ポイント還元率も店舗によって変わりますので、支払い方法とポイント還元率にはご注意ください。