アジアの風
Vol.1 中国茶あれこれ
今回は香港にスポットを当ててご案内をさせて頂きます。香港といえば美味しい中国料理ですが、これに欠かせないのが中国茶です。我々も日本で当たり前のように中国茶を飲みますが、それは本場中国で飲まれている中国茶の一部のようです。我々が知らない中国茶も多くありますので、今回はこの中国茶についてご案内させて頂きます。
中国茶は基本的には6大分類されます。これは、製造の際の茶葉の発酵具合によるものです。それでは、順にご案内します。
- ① 緑茶・・ 摘んだばかりの生の茶葉が、その葉に含まれる酸化酵素によって自家発酵する前に製茶したものです。日本茶もこの緑茶に入りますが、日本茶は蒸すという工程がありますが、中国茶は炒る方法によります。
- ② 白茶・・ 摘んだ茶葉を軽く発酵させて作ります。広東人特に香港で好まれている白牡丹はこの白茶です。
- ③ 黄茶・・ 白茶よりさらに発酵を進めたもので、高温多湿のところに置いて、空気中の菌の力で軽く発酵させるものです。
- ④ 青茶・・ 生の葉を揉む、揺らす、という工程を経て茶葉の表面に傷をつけて香りを引き出す、という作り方です。このお茶は産地それぞれで香りの個性があるので、その違いを楽しむのがポイントのようです。烏龍茶がこれの代表格ですが、その中でも鉄観音がよく知られています。ちなみに鉄観音とは、茶樹の品種名です。
- ⑤ 紅茶・・ 茶葉を完全に発酵させて作られたものです。英国紅茶はよく知られていますがそればかりではありません。福建省の三大工夫茶のひとつに数えられる紅茶は「仙岩茶」とも呼ばれますが、それは仙人が住むような山深い場所で造られため、といわれまぼろしのお茶とされています。
- ⑥ 黒茶・・ 茶葉の酸化酵素の力を全く借りずに発酵させたお茶です。最初に製茶してから高温多湿のところに放置する、という造り方です。黄茶と違ってじっくり発酵させる点が特徴です。
以上の6つの種類に分かれますが、植物学的には、いずれもツバキ科の樹の葉から造られるものです。
なお、この6つの分類によって製茶されたものに、花の香りをつけたものが「花茶」です。香港では、花茶の1つである菊茶に普洱茶を組み合わせて菊普と呼んで、好んで飲んでいます。この他ジャスミン茶などもこの花茶の1つです。
中国では古くから、日常生活に欠かせないものが7つある、といわれています。柴、米、油、塩、酢、醤の6つは美味しい食事をするためのものですが、もう1つが茶です。それほどお茶を大切なものと位置づけていたからこそ、先に挙げたようなたくさんのお茶の種類が誕生したのでしょうね。
これをお読みになって、これから中国料理を楽しむときには、是非中国茶にもこだわって頂ければ、と思います。香港に行かなくとも、東京でも中国料理店によっては、さまざまな種類のお茶をグラスビール程度のお値段で出してくれます。そして、ビールと違って、一回頼んだお茶のポットに何回も熱いお湯を注いでくれますので、お得感もあります。こうして見ますと中国茶は、料理を引き立て、健康によく、懐にも優しい、という具合です。
今夜は美味しい中国料理に中国茶といきましょうか。